コロナ禍の新習慣になったが…過剰な除菌・消毒は病気を招く
「除菌や消毒によって病気を引き起こす細菌やウイルスへの接触が減っているということは、病気の原因にならないだけでなく、むしろわれわれを守っている細菌も死滅させている可能性が高いといえます。われわれの生活環境には、あらゆる所に無数の細菌が存在していて、そのほとんどが無害です。ヒトに病気を引き起こすような病原菌はごくわずかで、われわれは自分に害のない細菌を取り込んで共存しています。そしてこれらの常在菌の働きのおかげで健康が保たれているのです。行き過ぎた除菌や消毒によってそうした常在菌まで死滅させてしまうと、病気を招く原因になってしまう恐れがあります」
■子供の免疫システムに影響する恐れも
われわれの体には、口、鼻、胃、腸、皮膚など全身に常在菌が生息している。常在菌にはそれぞれ役割があり、病原菌の侵入を防いだり、免疫バランスを保ったり、必要な栄養素を作り出している。中でもヒトの腸内に100兆個も存在している腸内細菌は、病原菌の排除や免疫力を高めて病気を防ぐ役割や、逆に行き過ぎた免疫を調整して抑える働きも担っていて、糖尿病、動脈硬化、がん、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー疾患、うつ病の発症にも大きく関係していることがわかっている。