コロナ禍の新習慣になったが…過剰な除菌・消毒は病気を招く
「生息している腸内細菌の種類が多ければ多いほど免疫システムが鍛えられ、病気やアレルギーが発症しづらくなります。健康維持のためには腸内細菌の種類を増やし、腸内細菌叢のバランスを良好にすることが重要なのです。ヒトの腸内細菌の種類は生後3年間ほどでほぼ決まるといわれ、それまでに体内に取り込んだ細菌がIgA抗体とくっついて定着することがわかっています。無菌状態だった母親の胎内から生まれてきた赤ちゃんは、なんでも口に入れてなめ回します。これは、多種多様な細菌を早く体内に取り込んで腸内細菌の種類を増やし、免疫システムを発達させるためだと考えられているのです」(藤田氏)
新型コロナの感染対策で、これまで以上に除菌や消毒が徹底された新生活が長期間にわたって続くと、身の回りのあらゆる細菌が必要以上に排除されることになる。そうした環境で育った子供は免疫システムに悪影響が出るリスクがある。たとえばスウェーデンの研究では、「手洗いよりも細菌を減らす効果が高い食洗機を使っている家庭の子供は、アレルギー発症リスクが2倍になる」と報告されている。
「新型コロナなど重症化の危険がある感染症への対策はもちろん必要です。しかし、あらゆる場面で除菌や消毒を徹底するのは逆効果です。日常生活では、過度に除菌するような清掃は必要ありませんし、手洗いは殺菌力の強いハンドソープではなく流水で行い、外出先から戻った時、調理や食事の前だけで十分です。うがい薬も頻繁に使わないほうがいい」
細菌やウイルスを排除しすぎた環境では、われわれも健康に生きられないのだ。