コロナ禍の新習慣になったが…過剰な除菌・消毒は病気を招く
店舗やエレベーターを利用するたびにアルコール液で手指を消毒し、自宅に帰ったら玄関で除菌スプレーを吹きかける。薬用ハンドソープで頻繁に手を洗い、うがい薬で口内を殺菌し、ドアノブやテーブルをはじめ室内のあらゆる場所を次亜塩素酸水を使って拭き掃除……。新型コロナ禍の新生活では、除菌・消毒の習慣が当たり前になっている。もちろん感染予防は大切だが、やりすぎると手痛いしっぺ返しを食らいかねない。
国立感染症研究所のデータによると、今シーズンのインフルエンザの発生状況は、例年の1000分の1ほどに激減していて、このまま流行することなく春を迎える可能性が指摘されている。また、感染性胃腸炎やマイコプラズマ肺炎といったほかの感染症の報告も、ほぼすべてが大幅に減っている。
新型コロナに対する感染対策が一般に広く浸透したことが、ウイルスや細菌によるほかの感染症予防にも有効だというひとつの証しといえる。それだけに、このまま除菌・消毒を徹底する生活習慣が定着する可能性は高い。しかし、そうした新しい生活様式がこれまで以上に進むと、われわれの健康にとって逆効果になりかねない危険がある。東京医科歯科大名誉教授の藤田紘一郎氏(感染免疫学)が言う。