著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

だいたひかるさんは順調 がんと不妊治療を両立させる女性のプランは3つ

公開日: 更新日:

 抗がん剤や放射線の治療を受けると、精巣や卵巣の機能が低下するため、妊娠できなくなるリスクがあります。男女ともにリスクがあり、それを回避することが重要なのです。

 男性の場合は、採取した精子を液体窒素で凍結して保存する方法のみですが、女性は3つあります。卵子を採取して凍結する方法、卵子とパートナーの精子を受精させて受精卵として凍結する方法、そして片側の卵巣を摘出して凍結する方法です。

 既婚者やパートナーがいるケースでは、だいたさんのように受精卵を凍結する方法が確実でしょう。受精卵の方が、卵子凍結より凍結のストレスに強く、融解時の回復率は95%。卵子凍結の場合は80%程度で、受精卵凍結の方が、卵子凍結より将来の妊娠確率は上がります。

 ただ、いずれの凍結を選ぶかは、治療までの時間との兼ね合いが重要です。卵子や受精卵の凍結には一般に10日程度かかります。手術前に抗がん剤治療が必要なケースやがんの進行が早く診断からすぐに抗がん剤治療が必要なケースなどは、受精卵などでの凍結が難しく、卵巣凍結が選択されるのです。

 ですから治療法の検討と同様に、妊娠の可能性を守るためにどの方法をチョイスするか。主治医やパートナーとよく考えることが大切です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    すい臓がんの治療が成功しやすい条件…2年前に公表の日テレ菅谷大介アナは箱根旅行

  3. 3

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  4. 4

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  5. 5

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  1. 6

    「戦隊ヒロイン」ゴジュウユニコーン役の今森茉耶 不倫騒動&未成年飲酒で人気シリーズ終了にミソ

  2. 7

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  3. 8

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 9

    志茂田景樹さんは「要介護5」の車イス生活に…施設は合わず、自宅で前向きな日々

  5. 10

    NHK大河「べらぼう」に最後まで東洲斎写楽が登場しないナゼ?