中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

血液1滴でOKのがん検査 陽性ではセカンドオピニオンが不可欠

公開日: 更新日:

 血液1滴で13種類のがんを早期発見――。夢のような技術が、もうすぐ実用化されそうです。

 血液でがんを調べる検査は、腫瘍マーカーがあります。がんによって増える特定のタンパク質や酵素を調べる検査で、治療の効果を確認したり、再発をチェックしたりすることはありますが、早期発見の目的では使えません。新しい技術は、早期発見に役立つほど精度が高く、注目されているのです。

 がんの人を正しく判定できる確率を感度、がんでない人を正しくがんでないと判定する確率を特異度といいます。新技術の検査で乳がんの場合、感度は97%、特異度は92%です。卵巣がんでは、感度99%、特異度100%に上ります。

 ほかのがんで見てみると、感度と特異度は、膵臓がんは「98%、94%」、大腸がんは「99%、89%」、膀胱がんは「97%、99%」といった具合で軒並み90%を超える高精度です。がん検診として死亡率を下げることが確立されている大腸がんの便潜血検査の感度は70%ほどですから、この検査の感度の高さは特筆ものでしょう。

 この技術のベースにあるのが、遺伝子の働きにかかわるマイクロRNAです。マイクロRNAはがん細胞から分泌され、増殖や転移などにかかわっています。それぞれの臓器にできるがんによって、マイクロRNAの特徴が異なるため、特定のマイクロRNAの組み合わせの違いから、がん患者とそうでない人を高い確率で見分けられるのです。

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