「現代的日本食」+「コーヒー」が認知機能の維持に役立つ
「最近では腸内細菌が産出する代謝産物にも注目。アンモニアや有機酸が認知症との関連度が高いとの結果でした」
腸内環境は言うまでもなく食事内容に左右される。認知機能を保つエビデンスのある食品としては地中海沿岸で伝統的に食べられている「地中海食」がある。オリーブオイルを多用し、野菜、果物、魚介類が豊富で、牛肉や豚肉、加工肉は少量などの特徴がある。
地中海食と共通項がある日本食についても研究が行われている。佐治医師らは、これまでに日本食、腸内細菌と認知症についての解析も実施。米飯、味噌、魚介類、緑黄色野菜など伝統的な日本食9品目の「伝統的日本食」、これに大豆類、果物、キノコ類を加えた「現代的日本食(12品目)」、さらに認知機能維持に良いといわれるコーヒーを加えた「コーヒーを含む現代的日本食」を比較すると、現代的日本食とコーヒーを含む現代的日本食のスコアが高いほど、認知症との関連度が低かった。
「日本食の中での具体的な食材を挙げると、DHAで知られる魚油は認知症予防に有効だと発表されており、大豆類も有効だとされています」
認知症予防につながる薬の研究は進んでいるが、臨床で使われるようになるまではまだ時間がかかるだろう。認知症の前段階、軽度認知障害にも特効薬がない。だからこそ、今日から食事で対策を講じようではないか。コロナ禍でも、全く問題なく実施できる。