世界初 アルツハイマー病を「治す薬」が日本でも承認申請へ
昨年末、アルツハイマー病の進行へ直接介入することを目的に開発された「アデュカヌマブ」が、米国などに続き日本でも承認申請された。承認されれば、アルツハイマー病の世界初の根本治療薬(疾患修飾薬)となる。日本認知症学会理事長で、東大大学院医学系研究科脳神経医学専攻神経病理学分野教授の岩坪威医師に話を聞いた。
アルツハイマー病で従来承認されている薬は症状を緩和させるが、病気の進行は止められない。しかも、効果がある期間は限定的だ。
「一方、アデュカヌマブはアルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβの脳内レベルを下げる働きがあります」
アミロイドβは健康な人の脳にもあるタンパク質で、通常は短期間で排出される。ところが何らかの原因でアミロイドβが脳内に蓄積するようになると神経変性が起こり、神経細胞が死んで脱落。アルツハイマー病の症状が出てくる。アミロイドβの蓄積は、アルツハイマー病と診断される20年前から始まるといわれている。
「アデュカヌマブがアミロイドβの脳内レベルを下げ、神経変性を抑制し、アルツハイマー病の進行を遅らせます。2つの臨床試験のうち一方では、78週投与で認知機能低下がプラセボ群より22%抑えられました」