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荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【マダニ媒介新興感染症】世界各地で新たなウイルスが続々と発見されている

公開日: 更新日:

 ほかにもマダニからはさまざまなウイルスが見つかっています。2021年には、北海道大学が発熱や筋肉痛などを主徴とする感染症の原因となる新しいウイルスを発見し、「エゾウイルス」と命名されました。エゾリスやエゾシカと同じく北海道だからエゾウイルスというわけです。

 エゾウイルス感染者は2014~20年の7年間で少なくとも7人が確認されており、いずれの方もマダニに刺された数日から2週間後に発熱や筋肉痛などを訴えていました。これまでのところ、エゾウイルス感染症による死者は確認されていませんが、エゾシカなど道内の野生動物がエゾウイルスの抗体を持っていることが分かっていて、ウイルスは北海道内に定着していると推察されています。

 近年、解析技術の進歩によって世界各地のマダニからウイルスを含む新たな微生物が次々と発見されていて、マダニの中には未発見の病原体がまだ存在しているものと考えられています。今後も新たな病原体が発見されるかもしれません。

 春から秋にかけてはマダニの活動が盛んになるので、草むらやヤブなどマダニの生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボンを着用し、サンダルのような肌を露出するものは履かないといった対策が大切です。

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