【アンチバイオグラム】感染症の治療に役立つ情報が分かる
前回、細菌の培養検査についてお話ししました。では、「アンチバイオグラム(Antibiogram:抗菌薬感受性率表)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ある施設において、一定期間に分離された微生物の各種抗菌薬への薬剤感受性率を表の形式にしたものです。この表を見ると、ある特定の感染症の原因菌としてどのような菌が多いのか、検出された細菌にどの抗菌薬が効くのか、効かないのか……などの情報が得られます。
前回お話ししたエンピリック(経験的)治療においても非常に役立ちます。たとえば、入院されていない一般の方が罹患する尿路感染症の原因菌は70%以上が大腸菌であることが知られているのですが、この大腸菌についてどの程度の確率で耐性菌が出てくるのかは地域によって異なります。
昨今、大腸菌ではフルオロキノロン系抗菌薬に対する耐性菌が問題となっています。施設や地域において、どの程度の確率でフルオロキノロン耐性菌が検出されているかが分かると、初期治療で使用する抗菌薬も変わってくるのです。