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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

マスクを常に着用する場合の「害」の検討はなぜ難しいのか

公開日: 更新日:

 子ども(特に2歳未満や障害のある場合)のマスク着用では以下のような危険性が考えられます。

 呼吸が苦しくなり、窒息する可能性がある。

 嘔吐した場合に、窒息する可能性がある。

 熱がこもり、熱中症になる可能性が高まる。

 顔色、呼吸の状態などが観察しにくいため、体調異変の発見が遅れる」

 2歳未満、障害のある場合の危険については強調されているが、2歳以上の場合についてこれ以上の記載はない。

 また、WHOのガイドライン2)も見てみると、こちらは5歳未満では長時間にわたるマスクはすべきでないとなっている。小児科学会よりは小児に対する害を重く見た記載になっている。ここには明確な基準は設けることができない現状が垣間見える。確かな医学研究がないということだろう。そこで医学論文を探してみる。

■質の高い研究は少ない


 すると成人では、マスクによる身体的な悪化のリスクが高い呼吸器疾患や高血圧、心臓手術後の患者を含む27名の患者の小規模の研究ではあるが、マスク着用時と非着用時の酸素飽和度(注2)を比較した研究では、酸素濃度の低下は認められないことが示されている3)。

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