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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

マスクを常に着用する場合の「害」の検討はなぜ難しいのか

公開日: 更新日:

 また小児を含むシステマティックレビュー(注3)では主にN95マスク(注4)について検討されてており、以下の問題が指摘されている4)。
・不快感
・呼吸器疾患のある人、子供、高齢者、心臓病のある人の呼吸機能への影響
・皮膚疾患のある人の皮膚への刺激
・難聴のある人のコミュニケーションの問題
・マスクの再利用に関する問題
・集中力の問題、作業能力の低下、呼吸困難、メガネの曇り、顔認識の困難、精神症状
・長時間使用した場合の頭痛

 また小児の心理的な問題についてのシステマティックレビュー5)では、不安やストレスのような心理的症状の増加を指摘する2研究、外国語教育における口頭発表の能力に差がないという研究が含まれるが、バイアス(注5)の影響が大きく十分な検討ができないという現状を報告している。

 「害」についての研究は「効果」の研究に比べて困難な場合が多い。医学的な害であっても、効果を検討したランダム比較試験(注6)やコホート研究(注7)では十分な検討が行われない場合も多く、さらには頻度の低い重大な副作用はそもそもその医療行為を実施した後でなければ検討不能である。

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