竹田市立図書館(大分県)そよ風に吹かれて読書にふける…城下町のやすらぎスポット
滝廉太郎の「荒城の月」のモチーフとなった岡城の城下町、大分県竹田市。
2017年に城下町再生プロジェクトのひとつとして新築された竹田市立図書館は一見、図書館らしからぬ外観が特徴だ。
屋根を周囲の民家と同様の切り妻屋根とし、サイズをあえて小さく複数に分散させ、少しずつずらして配置することで、風情ある町並みに建物を溶け込ませている。
館内は、この屋根と屋根の隙間からこぼれ落ちる光で明るいが、直射の強光ではなく、メッシュで覆われた天井が光を拡散し、薄曇りの空のような柔らかな光に包まれている。
自然を感じるもうひとつの理由が風だ。
「敷地内には一年を通じて南西から北東に穏やかな風が流れており、建物はその風の流れに沿って東館と西館が斜めに連なって建てられています」と話すのは館長の後藤芳彦さん。
岡城の城壁や竹田の自然をモチーフにした流線形の書架も、風の通り道に沿って1階に配置されている。
館内には約11万6000冊の蔵書があり、一般書エリアの東館と児童書エリアの西館の他に、哲学者の故・茅野良男氏から寄贈された2万冊以上の貴重な哲学書が隣接する茅野邸(哲学書書庫)に揃う。