サンコー 山光博康社長(7)2017年に開発したネッククーラーが大ヒット
近年の猛暑の影響で、さまざまな保冷ジェル商品が販売されるようになった。ただ、保冷ジェルには冷感が長時間持続しないという欠点がある。
そんな中、山光は冷感が途切れないような商品を作りたいと思った。イメージしたのは「ずっと使える“冷えピタ”」。それを実現したのは、電流を流すと熱を吸い上げて放熱する性質を持つペルチェ素子という素材だった。従来は、冷蔵庫など産業用の部品として使用されていたものだ。
2015年、ペルチェ素子を使用して額や首に装着できるような冷却商品を発売したが、うまくマーケットに浸透させることができず、売れ行きはいまひとつだった。
17年、大きな動脈が走る首を冷やせば体温が下がるという原理を生かして、ネッククーラーを開発する。サンコーが得意としているUSBによって電源を取る製品で、バッテリーが切れない限りは冷感が持続する。その後、少しずつ改良を加えていくことで愛用者も増え、昨年には60万個以上の爆発的なヒットを記録する。
作業員や交通誘導員など高温環境下で働く人たちにも人気が高く、産業系の通販や店舗での売り上げが半分近くを占める。