物価高や人手不足だけじゃない! 飲食店の「コロナ禍倒産」が過去最多…“時間差”で猛威を振るう背景
東京商工リサーチが14日発表した調査によると、昨年の企業倒産件数は前年比15.1%増の1万6件で、11年ぶりに1万件を超えた。うち約99.98%が中小企業で、円安によるコスト高騰や人手不足が経営を圧迫した。
とりわけ苦境に陥っているのは、飲食業界だ。14日は帝国データバンクも、昨年の倒産動向調査を発表し、「飲食店」は894件と前年比16.4%増。コロナ禍の2020年(780件)を上回り、過去最多を更新した。業態別では、居酒屋を主体とする「酒場、ビヤホール」が最多の212件だった。
経営を悪化させているのは物価高に伴うコスト増だけではない。新型コロナ対策の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が重くのしかかっている。ゼロゼロ融資の申し込みは20年に開始。昨年4月に返済のピークを迎えた。帝国データバンク情報統括部の橋本伊織氏はこう話す。
「経営に問題があった事業者でも、ゼロゼロ融資では過剰に融資を受けることができました。そうして延命した飲食店は結局、根本的な経営課題が解決しないまま返済期を迎え、今になって相次いで倒産しています。また、コロナ禍当初からみれば、現在の物価高騰は想定外の出来事。計画が狂ってしまった経営者も少なくないはずです。コロナ禍の過剰融資の影響が時間差で表れ、倒産急増の原因になっています」