渋野 米ツアー不参加表明に専門家は「行くべき」と指摘
全英の会場は距離も長くなく、グリーンも重かった。松林でセパレートされていて日本のコースに非常に似ていた。しかも、インコースは多くの選手がピンそばに乗せてのバーディー合戦になった。米女子ツアーは米国内だけでなく、オーストラリア、タイ、シンガポール、中国、台湾と多くの国を転戦する。芝質や気候はそれぞれ異なり、時差もある。ルーキーが簡単に結果を出せるツアーではないことは確かだ。
「もうひとつはスポンサーへの配慮ではないか。無名の時から契約してくれたスポンサーへの恩返しもまだまだという思いから、国内ツアーでやっていこうという考えなのでしょう」(ツアー関係者)
■怖さ知らずの今こそ
だが、どんな事情があるにせよ、「今だからこそ米女子ツアーに行くべきです」と言うのは、ゴルフライターの吉川英三郎氏だ。
「宮里藍、宮里美香、畑岡奈紗もそうですが、『絶対にメジャーに勝つんだ』と意識し過ぎて、自分にプレッシャーをかけて夢を実現できなかった。90年代から米女子ツアーを見てきて実力が抜けていたのはA・ソレンスタム(メジャー10勝、米女子ツアー72勝)だけ。以後、ヤニ・ツェンが強かった時期もあったが、上位選手に飛び抜けた選手はいません。渋野はまだ20歳じゃないですか。全英の時と同様、怖さ知らずでプレーしながら技術を磨いていけば、本当に世界のトップに立てるかもしれない。フル参戦が無理なら、メジャー5試合だけでも出場してほしい。来春をメドにすれば準備の時間はたっぷりある。英会話に不安があれば全英優勝の賞金(約7155万円)でサポートをしてくれるスタッフを見つければいいのです。常に大きな目標を持たなければ、そこまでの選手で終わりますよ」
今回のメジャー優勝でロレックスランキングは14位まで上昇。東京五輪の代表を決めるオリンピックランキングも12位に入った。全英のタイトルも獲得した今、日本の賞金女王という「称号」に、それほどの価値があるとも思えない。来季の米ツアー参戦は「全くない」と断言した渋野。再考するべきだ。