著者のコラム一覧
山田一仁フォトジャーナリスト

1957年1月1日生まれ。岐阜県出身。千葉大工学部画像工学科卒業後、文藝春秋社に入社。フリーランスとして五輪はロス、ソウル、バルセロナ、シドニー、カルガリ、リレハンメルなど取材。サッカーW杯は1990年イタリア大会から、ユーロは1996年英国大会から取材。89年のベルリンの壁、ルーマニア革命、91年ソ連クーデター、93年ロシア内紛、95年チェチェン紛争など現地取材。英プレミアリーグの撮影ライセンスを日本人フリーランスカメラマンとして唯一保有。Jリーグ岐阜のオフィシャルカメラマンを務めている。

コパカバーナ海岸でボールを蹴っている人が一人もいない

公開日: 更新日:

アルコール消毒液はスーツケースの中に…

▼3月22日 日曜日

 一睡もしないで朝の4時にマリンガの空港に向かった。午前5前に空港に到着すると、既に数人の列があった。この便が定刻通りに飛べば、リオには昼に着ける。午後からリオの様子を撮影できるはずだ。

 地上職員が、ポルトガル語で何やら説明している。空港まで付き合ってくれた元日本代表の三都主アレサンドロさんが「予約した便はキャンセルになりました。午前10時過ぎの便でまずはサンパウロに飛び、そこからリオ便に乗ることになりましたよ。山田さん」と説明してくれた。

 これでキャンセルは3回目だ。

 ビックリしたが、同じことがリオから出国する23日に起こっていたら、国際線には乗り継げなかったことになる。不幸中の幸いと気を取り直し、2階のカフェがあるエリアで待つことにした。カフェのカウンターに向かった。列を作って並ぶ際に張られるロープが、カウンターと平行に置かれているではないか。客が店員に近づき過ぎないようにするためだった。

 そういえば、サンパウロからマリンガに向かう夜行バスに乗車する際、インフォメーションで乗り場を尋ねようと思ったら、同じようなスタイルでロープが張ってあった。新型コロナウイルスは飛沫感染するので、対人サービスをする人は、客と距離を置かないと危ないのだ。

 ゲートに進む。2週間ほど前は、いつもと変わらないブラジルだったのに、今では乗客のほとんどがマスクをしている。機内に乗り込むと、おばあちゃんが前かがみになってゴソゴソ何かを、している。前に進めない。よくよく見ると、持参したアルコールジェルで自分の席を拭いている。着席してから周りを見ると、ほとんどの客も、小瓶に入れたアルコール消毒ジェルで手を拭いている。

「あぁ……」

 私も22日に薬局で500ccのアルコール消毒液ボトルを2本も購入したのに、スーツケースの中に入れて預けてしまった。ブラジル人が清潔好きになってしまった……と思いつつ、これからはブラジル人の真似をして常にジェルを持ち歩こう!と決意した。

 サンパウロ行きの乗車率は2割程度。コンゴニャス空港に到着すると、乗客が少なく、閑散としている。スマートホンを充電する電源を探していると、救急車に積んであるストレッチャーが設置してあった。ブラジルW杯の時にはなかった。これも新型コロナ対策なのだろうか?

 リオには夕方に到着したが、翌日便の確認などで宿に着いた頃には午後10時を過ぎてしまった。リスボン行きは午後5時の出発。午前中に世界でも有名なコパカバーナ海岸を撮ろうと、ビーチから徒歩5分のホテルを予約した。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • サッカーのアクセスランキング

  1. 1

    ソシエダ久保建英のレアル復帰は「完全消失」…エムバペら《新銀河系軍団》に割って入る余地ゼロ

  2. 2

    米国に準々決勝敗退でメダルなしも、なでしこに光明を見た。決して悲観することはない。

  3. 3

    プレミア移籍の鎌田大地に早くも「香川真司の二の舞」不安…名門マンU入りも完全尻すぼみ

  4. 4

    なでしこ史上初「外国人監督誕生」に現実味…池田太監督の退任の裏にJFA会長の強い意向

  5. 5

    シント=トロイデンに日本人選手が集まる理由 パリ五輪で活躍のGK小久保、A代表DF谷口が入団会見 

  1. 6

    ソシエダ久保建英「監督批判?」の波紋…“途中出場”に不満か、ゴール後に《オレを誰だと思っているのか?》

  2. 7

    なでしこ池田太監督“カネの問題”で消極的残留の可能性…男子代表と雲泥の差、衝撃の年俸とは

  3. 8

    森保Jシリアと今夜激突!A代表専念で吹っ切れた久保建英のキレキレプレーは見られるか

  4. 9

    パリ五輪なでしこ初戦はスペインに痛恨逆転負け…大きく見劣りした「決定的な差」初代監督が指摘

  5. 10

    サッカー男子日本のパリ五輪「決定的敗因」と今後…スペインに完敗、56年ぶりメダルならず

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  2. 2

    離職後、定年後は何をしたい? 第2位「まだ考えていない」…では第1位は?

  3. 3

    悠仁さま「進学に向けた勉学の大切な時期」でも続く秋篠宮家と宮内庁の軋轢

  4. 4

    旧ジャニーズ自社タレントの誹謗中傷に通報窓口設置も…「当事者の会」見て見ぬふりの“二枚舌”

  5. 5

    もはや任意じゃなくて強制…12月2日のマイナ保険証一本化に向けて強まる国民への包囲網

  1. 6

    阪神岡田監督の気になる進退 来季続投がスジだが…単純にそうはいかない複雑事情

  2. 7

    厚労省が職員9万人を対象に「マイナ保険証アンケート」の愚策…エグすぎる質問事項の“大きなお世話”

  3. 8

    “終わった説”から大逆襲!巨人・菅野智之「最後の全盛期」を手繰り寄せる意外な要因とは

  4. 9

    機内食の猛クレームで通路で土下座をさせられました

  5. 10

    初V京都国際の《正体》と《左腕王国の秘密》…野球部“以外”の男子生徒わずか12人