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山田一仁フォトジャーナリスト

1957年1月1日生まれ。岐阜県出身。千葉大工学部画像工学科卒業後、文藝春秋社に入社。フリーランスとして五輪はロス、ソウル、バルセロナ、シドニー、カルガリ、リレハンメルなど取材。サッカーW杯は1990年イタリア大会から、ユーロは1996年英国大会から取材。89年のベルリンの壁、ルーマニア革命、91年ソ連クーデター、93年ロシア内紛、95年チェチェン紛争など現地取材。英プレミアリーグの撮影ライセンスを日本人フリーランスカメラマンとして唯一保有。Jリーグ岐阜のオフィシャルカメラマンを務めている。

コパカバーナ海岸でボールを蹴っている人が一人もいない

公開日: 更新日:

CAはいきなり「Keep Away!」と

▼3月23日 月曜日

 ビーチの端から歩き始める。普段はビーチサッカーに興じる観光客や地元民であふれているのに……サッカー王国ブラジルの世界有数のビーチなのにボールを蹴っている人は一人もいない! 歩道をジョギングしている人はいるが、グループで行動している人がいない。歩道沿いに飲食コーナーがあるが、客がいなくてオーナーが暇そうに座っている。

 筋力トレーニング用器具が置いてある場所で男性2人が黙々と運動していたが、警備員に注意されてやめてしまった。他人同士だったのに2人組と思われたのだろう。単独で走っているジョガーは注意されない。

 リオ在住の友人アントニオに電話すると彼は外出自粛で自宅にいた。よく休憩に訪れる会員制の高級スポーツクラブは閉館になってしまったという。

 会うのは次回にして早めに空港に向かった。空港に人けが少ないので、普段は外で待っている公認タクシーのドライバーたちも、ホールまで入って客の呼び込みをやっている。約2週間のブラジル滞在。やっと出国できる。安堵しながら飛行機のシートに座るとすぐに眠りに落ち、離陸したことにも気が付かなかった。

 途中で目が覚め、食事した後に寝酒用にウイスキーでも貰おうとCAがいる最後部に向かった。いきなり「Keep Away!」と言われた。怪訝な顔をすると「Keep a distance.You can't get in this area!」(距離を保ちなさい。ここは入ってはいけない場所)と言われる。

「飲み物をもらいに来ただけだよ」

 そう答えると自分で入れなさい、という仕草でコップをカウンターの端に置いた。そうか、新型コロナ感染を恐れて乗客と距離を置く指令が出ているのだ。

 う~ん、ロンドンは一体どうなっているのだろうか?  =つづく

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