石原壮一郎(コラムニスト)
12月×日 昭和に生まれて昭和に育った昭和人間のみなさん、元気でやってますか。世の中の雰囲気も価値観も大きく変わって、何かとやりづらくて仕方ないですよね。
令和の時代に、昭和人間はどう生きるか。なかなか切実な問題です。私は60代ですが、少し下の世代の論客が、まさにそういうテーマの本を出しました。常見陽平著「50代上等! 理不尽なことは『週刊少年ジャンプ』から学んだ」(平凡社 1100円)です。
著者の常見氏は、今年50歳。自分たちの世代が歩んできた道のりを社会学的に分析し、50代だからこその明るい希望や、幸せに生きていくための具体的な方法を提示してくれています。
「昔はよかった」と言うつもりはないにせよ、令和の働き方の“常識”や、コンプライアンスが重視される風潮には違和感を覚えてしまう──。そこは60代とも、大いに共通している感覚です。
一方で、50代を語る上で外せないのが、「就職氷河期」「ロスジェネ」「自己責任グセ」といったキーワード。わずか10年の違いですが、50代と60代との間には、それなりに意識の違いがあるかもしれません。
しかし、違うからこそ力を合わせる意義が、きっとあるはず。昭和のいい部分もダメな部分も知っているもの同士として、どう手を組んで、楽しい未来を切り開いていけるか。50代にとっても60代にとっても、重要な課題といえるでしょう。50代のみなさん、ひとつよろしくお願いします。
12月×日 単に懐かしむだけでなく、自分の中に潜んでいるはずの「昭和パワー」を引きずり出すために、町田忍著「町田忍の昭和遺産100 令和の時代もたくましく生きる」(天夢人 1980円)と、鷹野晃著「定点写真で見る 東京今昔」(光文社 1870円)に、手を伸ばしてみました。
前者はアイテムを通じて、後者は街の風景を通じて、昭和の空気を吸い込ませてくれます。
昭和人間のみなさん、昭和に刺激をもらいながら、もうひと暴れしようじゃありませんか。