福島泰樹(歌人・絶叫ミュージシャン)
11月×月 経産省前、月例反原発祈祷会も9年目を迎えた。安倍晋三狙撃犯・山上徹也をモデルにした「REVOLUTION+1」に次いで、49年間の逃亡の末、本名を明かして死んだ連続企業爆破犯・桐島聡(元東アジア反日武装戦線)を描いた「逃走、貫徹!」の上映を待つ足立正生監督が、毎月参加。
足立は1971年、若松孝二監督とパレスチナに渡り映画「赤軍-P.F.L.P・世界戦争宣言」を制作、以後アラブにあって日本赤軍に参加、重信房子らとゲリラ兵士の日々を過ごした。
11月×日 足立正生の大著アラブ獄中記「塀の中の千夜一夜」(愛育社 2005年刊)を再読。足立は25年のアラブでの活動の最後の3年をベイルート、ルミエ刑務所で、岡本公三ら日本赤軍メンバーと服役。その間、暴動蜂起、獄中結婚と八面六臂の大活躍。
11月×日 田村雅之詩集「魂匣(たまぼこ)」(砂子屋書房 2750円)の恵送を受ける。田村は国文社で、文芸季刊誌「磁場」を編集、私に「中也断唱」を書かせた男だ。詩人清水昶と3人、朝から酒を飲み歩いた、若かった70年代が真底懐かしい。
「おもいだすのはみな/そんなきれぎれのたわいないことばかり」。
古詩を愛する剛直の詩人が思わず漏らした溜息か。魂匣とは追尋(ついじん)の意。
11月×日 主宰誌「月光」次号は「パレスチナ」を特集する。重信房子が、獄中で書き上げた大著「日本赤軍私史 パレスチナと共に」(河出書房新社 2009年刊)をお浚(さら)い、私が編纂した獄中歌集「暁の星」(皓星社 2200円)を傍らに執筆を始める。
11月×日 リッダ空港銃撃戦で戦死した奥平剛士遺稿「天よ、我に仕事を与えよ」(田畑書店 1978年刊)に涙を注ぐ。
11月×日 毎月10日、吉祥寺「曼荼羅」での月例「短歌絶叫コンサート」も40周年を迎えた。獄中で、《テロリストと呼ばれしわれは秋ならば桔梗コスモス吾亦紅が好き》と歌った重信房子をゲストに、自作の詩の朗読とガザ緊急報告をしてもらった。場内は大興奮!