週末オススメ本ミシュラン
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「おとなの教養2私たちはいま、どこにいるのか?」 池上彰著/NHK出版新書/2019年
池上彰氏は、教養を二分節化した上で、本書の狙いについてこう記す。 <教養を学ぶことには、二つの側面があります。ひとつは、時代が動いても古びない、普遍的な考え方を身につけること。もうひとつは、ニ…
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「すごい90歳」奥村正子著/ダイヤモンド社/1300円+税
本書は、世界マスターズベンチプレス選手権で4回優勝し、いまなお現役選手を続ける90歳女性の健康法だ。 私は、楽で簡単な健康法というのを信用していない。特に、「これを食べるだけで簡単に痩せられ…
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「評伝 孫基禎」寺島善一著/社会評論社
2000年のシドニー・オリンピックの女子マラソンで高橋尚子が優勝した時、日本人選手としてマラソンでは64年ぶりの金メダルと報じられた。しかし、その64年前のベルリン・オリンピックの男子マラソンで優勝…
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「『いつでも転職できる』を武器にする」松本利明著/KADOKAWA/1400円+税
人事・戦略コンサルタントの書いた本である。タイトルだけ見るといわゆる「自己啓発書」の類いかと思われるかもしれないが、そんなことはない。自己啓発書は、前向きになれるような美辞麗句が並ぶが、本書は身もふ…
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「平成の終焉 退位と天皇・皇后」原武史著/岩波書店/2019年
21世紀になって天皇神話が強化されていることを記述した興味深い作品だ。1948年の坂口安吾の天皇論を切り口にして論じている。かなり挑発的な議論だ。 <作家の坂口安吾(一九○六~一九五五)は、一九四…
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「ライザップ式接客術」幕田純著/講談社
あらかじめお断りしておくと、今回の書評には、多分に私情が入っている。それは、本書の著者が、私がライザップでダイエットに成功したときのトレーナーだからだ。 当時から、私は彼が天才だと思ってきた…
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「志らくの言いたい放題」立川志らく著/PHP文庫
スクープしたわけでもないのに「読売」だけでなく「朝日」までが元号決定の号外を出したのには呆れた。これでは「官報」だろう。のちに自民党総裁となり病に倒れるまでのわずかな期間、首相をやった石橋湛山は戦後…
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「ヒルビリー・エレジー」J.D.ヴァンス著 関根光宏・山田文訳光文社
ドナルド・トランプ氏の米大統領選挙勝利の背景に、同書に登場する「ヒルビリー」(田舎者)の存在があったと分析された。アメリカの繁栄から取り残されたラストベルト(さびついた工業地帯)の白人の生態を示す同…
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「平成精神史 天皇・災害・ナショナリズム」片山杜秀著/幻冬舎新書/2018年
いよいよ5月1日から新天皇が即位し、元号も令和に変わる。本書は、平成の時代を総括し、新たな時代への展望について考察した好著だ。 片山杜秀氏は、民主主義と天皇の存在に根源的な矛盾があると考える…
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「角さんとじゃじゃ馬」田中眞紀子著/KADOKAWA
平成の30年間をさまざまなメディアが総括するなか、すっぽりと抜け落ちていると思う視点がある。それは、自民党が旧田中派支配から旧福田派支配に変わったということだ。私の見立てでは、田中派の基本理念は平和…
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「ハッキリ言わせていただきます!」前川喜平・谷口真由美著/集英社
「いい学校」から「いい会社」へのレールに乗って、いわゆる一流銀行に入ったのに、1年でやめた人のことが忘れられない。彼は母親に1週間も泣かれたという。その後、司法試験を受けて弁護士になるのだが、封建的な…
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「終わった人」 内館牧子著/講談社文庫/900円+税
舘ひろし主演で映画化もされた同作の初登場は2015年とかなり前だが、文庫版が2018年に登場。このたび「老害」に関するコラムを東洋経済オンラインに書いた。掲載後、編集者から「今更ですが、これどうぞ。…
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「ビッグ・クエスチョン<人類の難問>に答えよう」スティーヴン・ホーキング著/青木薫訳 NHK出版/2019年
去年3月に亡くなったイギリスの宇宙物理学者スティーヴン・ホーキングのエッセー集だ。 ホーキング氏は本書を執筆した意図について、<基本粒子の集まりにすぎない私たち人間が、自分たち自身を支配する…
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「平成はなぜ失敗したのか」野口悠紀雄著/幻冬舎
30年にわたった平成が終わるのをきっかけに、経済面から平成を振り返る書籍が多数登場している。それらのなかで、平成という時代に日本経済が大転落したという認識は、ほぼ共通している。日本経済の対世界GDP…
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「最後の頭取」河谷禎昌著/ダイヤモンド社
いま、私は74歳である。この年から河谷は収監されて、1年7カ月服役した。現在84歳。北海道拓殖銀行という大手銀行のトップで収監されたのは河谷だけだったが、その告白を読んで、気の毒だなと思いつつも、や…
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「ドラマへの遺言」倉本聰・碓井広義著/新潮社/820円+税
「北の国から」「やすらぎの郷」などのドラマ脚本で知られる倉本聰氏に、「弟子」であるテレビ制作会社出身で現在は上智大学教授の碓井広義氏が話を聞き、戦後最大のメディアとなったテレビに関し、論を展開する。日…
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「官僚たちの冬」田中秀明著/小学館新書/2019年
元財務官僚で、民主党政権時代に、内閣府の行政刷新会議担当の参事官をつとめた経験のある田中秀明氏(明治大学公共政策大学院教授)による安倍政権下の政官関係に関する秀逸な分析だ。 第2次安倍政権が…
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「骨まで愛して粗屋五郎の築地物語」小泉武夫著/新潮社
著者の小泉武夫氏は、日本の発酵学の権威であると同時に美食家としても名高い。実は、私はニュースステーションのコメンテーターをしていたときに、「おいしく食べよう」というコーナーで著者とご一緒させていただ…
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「祖国が棄てた人びと」金孝淳著 石坂浩一監訳/明石書店
「月刊日本」の12月号で日本共産党委員長の志位和夫と対談した亀井静香(元自民党政調会長)がこう言っている。 「国家間で法的に決着していることでも、日本としてはどうにかしなければならないという気持…
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「『さみしさ』の研究」ビートたけし著/小学館/760円+税
「アクティブシニア」なんて言葉もあり、昨今は「老い」が礼賛される傾向もある。と思えば、いわゆる「孤独を楽しむ」的な本も売れている。一方、本書の著者・ビートたけし氏は、「老い」は誰にも訪れるものであり、…