今日の新刊
-
「シベリア最深紀行」中村逸郎著
ロシアは多民族国家で、西シベリアはかつてはタタール人と総称されるウズベク人、カザフ人、トルコ人などが暮らすイスラム文化圏だった16世紀末にロシアの英雄、イェルマークに征服されたのだが、そのとき、川で…
-
「ミッドナイト・ジャーナル」本城雅人著
中央新聞さいたま支局の関口の記事に、デスクは「不明女児、遺体発見か」という見出しをつけて送った。だが、3人目の女児は無事発見され、大誤報となった。2人の女児を殺害した犯人はやがて逮捕され、処刑された…
-
「子の無い人生」酒井順子著
著者は「負け犬の遠吠え」を書いたとき、結婚さえすれば「宿題は終わった」という気分になると思ったが、2人以上の子をもって初めて、結婚は完成したと見なされることに気づいた。 「源氏物語」の紫の上は…
-
「情け深くあれ」岩井三四二著
信長が京に入り、市中は騒然としていた。医師・曲直瀬道三の弟子、英俊は道三の代診で、中風に苦しむ幕府の元奉行・松田駿河守の屋敷を訪れた。薬を処方して辞去しようとしたとき、「謀反の疑いあり」と呼ばわって…
-
「女神」藤田宜永著
しがない探偵の竹花のところに、料金着払いの荷物が届いた。差出人の山本浩信という名前に心当たりはない。開けてみるとボロボロの旅行バッグの中に、下着やTシャツに交じって千鶴という女宛ての恋文や、少女の似…
-
「東京都三多摩原人」久住昌之著
〈三多摩〉とは東京都の23区と島嶼(とうしょ)以外の地域で、元は神奈川県だったので住民は〈江戸っ子〉じゃない。三鷹生まれの著者は、はるか昔の祖先、三多摩原人の生活をしのぼうと、子どものころ遊んだドブ川…
-
「政治をみる眼」新藤宗幸著
「アベ政治を許さない」というプラカードを掲げたデモに子育て中の母親、大学生、高校生が参加した。そこには政治的イデオロギーはまったく介在せず、個人の生活を守ろうとする「理性」の発露がある。 かつ…
-
「星宿る虫」嶺里俊介著
長野の山中にある宗教法人「楽園の扉」から脱走してきた少女が、そこでは大規模な管理売春が行われていると証言した。警察官が事情聴取に赴いたとき、突然、火災が起こり、信者23人が死亡した。 焼死体…
-
「牛を飼う球団」喜瀬雅則著
2007年9月、経営危機に陥っていたプロ野球独立リーグ「高知ファイティングドッグス」のオーナー就任を依頼された若き実業家・北古味鈴太郎は、あまり乗り気ではなかった。だが、たまたま入った寿司屋で、球団…
-
「何かのためではない、特別なこと」平川克美著
映画監督・成瀬巳喜男が、戦後まもない日本を描いた「浮雲」を見ていたら、戦後の街並みの風景に見覚えがあった。だが、それは昭和20、21年ごろの風景で、25年生まれの著者が見ているはずはない。それなのに…
-
「つつましい英雄」マリオ・バルガス・リョサ著 田村さと子訳
運送会社オーナーのフェリシト家の玄関扉に青い封筒が貼り付けられていた。中身は月500ドルで彼の会社と家族を守ってやるという脅迫状だった。警察は頼りにならない。25年前にトラックの事故を予言して彼を助…
-
「コネ持ち父さんコネなし父さん」川下和彦著
大富豪の息子のように〈先天的なコネ〉を持っていない人は、〈後天的なコネ〉を開拓すればいいのだ。 そのためには「わらしべ長者」にならって、わらのように細くても、まずきっかけになるコネクションを…
-
「新選組と刀」伊東成郎著
「今宵、虎徹は血に飢えている」という名ぜりふで知られた近藤勇の佩刀(はいとう)・虎徹については諸説がある。虎徹には偽物が多く、一流の刀工・山浦清麿の打った刀に虎徹の偽銘を入れたものを売りつけられたとも…
-
「老人と猫」ニルス・ウッデンベリ著、アーネ・グスタフソン画、富原まさ江訳
ある日、著者は灰色がかった茶色のしま模様の小さな猫が物置にすみついているのに気づいた。旅行で留守にすることが多いため、飼うのは無理だと思ったが、引き取ってくれるところがないのでキティと名づけて飼うこ…
-
「ボス・イズ・バック」笹本稜平著
おれは私立探偵。地元の名士の下ネタ探しなど、S市最大の暴力団・山藤組の下請けのような仕事で食っている。 ところが、組長の山虎が突然、引退して堅気になると言いだした。組を解散して仏門に入るから…
-
「独裁者の子どもたち」ジャン=クリストフ・ブリザール&クロード・ケテル著、清水珠代訳
中国の初代主席だった毛沢東は自分の子どもにも厳しかった。すべての者は辛酸をなめ、試練に耐えて強くならなくてはいけないと言い、自分の家族は範を垂れるべきだと考えた。生きるためには1人200キロの穀物が…
-
「山水の飄客前田普羅」正津勉著
明治生まれの俳人、前田普羅は13歳のとき、両親が台湾に渡ったため、親戚に預けられる。母は3年後に死亡、寂しい少年時代を送った普羅は、俳句を詠むようになった。 俳句を詠んでいると、山中を歩くと…
-
「ロンドン狂瀾」中路啓太著
1930年、ロンドン軍縮会議で日本の首席全権・若槻礼次郎は対米7割の大型巡洋艦の比率を認めさせようと必死に交渉を重ねていた。だが、イギリス側は強硬で、その上、外交交渉を知らない海軍の財部大将の失言も…
-
「塩分が日本人を滅ぼす」本多京子著
健康志向が進んで、砂糖や脂をカットした食生活を心がけている人が増えている。しかし、いまだに日本人が取り過ぎているのが「塩」だ。 WHOが推奨する1日の塩分摂取量は5グラム未満。ところが、厚労…
-
「1985」鷲田康著
1981年、フロリダにいた阪神の二軍監督・安藤統男は小津社長に電話で呼び戻され、5年契約で一軍の監督を任された。 成果が出始めた3年目に、事件が起きる。本塁打王のタイトルをめぐってファン無視…