「新選組と刀」伊東成郎著
「今宵、虎徹は血に飢えている」という名ぜりふで知られた近藤勇の佩刀(はいとう)・虎徹については諸説がある。虎徹には偽物が多く、一流の刀工・山浦清麿の打った刀に虎徹の偽銘を入れたものを売りつけられたとも、将軍家からの拝領刀だともいわれている。だが伏見の戦いで肩を銃で撃たれた近藤は、徳川慶喜が兵を捨てて大阪から逃げ出したことに失望し、虎徹を手放したと伝えられる。虎徹は後に明治政府の官僚として活躍した金子堅太郎が手に入れ、関東大震災で焼けてしまったが、打ち直して銘刀の姿を取り戻した。
他に土方歳三が愛した会津の銘刀・和泉守兼定など、新選組ゆかりの刀について検証した一冊。(河出書房新社 1600円+税)