「つつましい英雄」マリオ・バルガス・リョサ著 田村さと子訳
運送会社オーナーのフェリシト家の玄関扉に青い封筒が貼り付けられていた。中身は月500ドルで彼の会社と家族を守ってやるという脅迫状だった。警察は頼りにならない。25年前にトラックの事故を予言して彼を助けてくれた聖像売りのアデライダは、彼らが要求しているものを与えろと言う。
だが彼は、「男はこの世で、誰にも踏みつけにされてはならない」と、脅迫状を無視した。2通目の脅迫状が届いた後、オフィスが放火された。フェリシトは、新聞に「そのようなものを払うよりも、私は殺されるほうを選ぶ」と警告を載せる。
マフィアに正面から立ち向かった人物をモデルにした波瀾万丈の物語。(河出書房新社 2700円+税)