「シベリア最深紀行」中村逸郎著
ロシアは多民族国家で、西シベリアはかつてはタタール人と総称されるウズベク人、カザフ人、トルコ人などが暮らすイスラム文化圏だった16世紀末にロシアの英雄、イェルマークに征服されたのだが、そのとき、川で溺死したイェルマークの遺体がイスラム墓地に埋葬されたという伝説がある。
イスラム教徒にとってはあり得ない話で、従来、イスラム教徒とロシア正教徒は干渉せずに生きてきた。だが、プーチン政権になってから、ロシア正教徒が勝手に墓地内に十字架を立てるなどして、あつれきが生じているという。
知られざるロシアの最深部を訪ねた政治学者の記録。(岩波書店 2400円+税)