「ボス・イズ・バック」笹本稜平著
おれは私立探偵。地元の名士の下ネタ探しなど、S市最大の暴力団・山藤組の下請けのような仕事で食っている。
ところが、組長の山虎が突然、引退して堅気になると言いだした。組を解散して仏門に入るから、愛犬のベルちゃんを預かってほしいという。1カ月分の養育費が30万円だから悪くない。ところがその後、S市が宗教法人と共同で霊園をつくるという話が耳に入った。登記所で調べたら、2カ月前に山虎がつぶれかけた寺の宗教法人格を購入している。山虎は、市長と結託して堅気の商売をシノギにする気では?(「表題作」)
食えない探偵が主人公のハードボイルド短編6編。(光文社 1500円+税)