「政治をみる眼」新藤宗幸著
「アベ政治を許さない」というプラカードを掲げたデモに子育て中の母親、大学生、高校生が参加した。そこには政治的イデオロギーはまったく介在せず、個人の生活を守ろうとする「理性」の発露がある。
かつて海上保安庁の公害監視Gメンだった田尻宗昭は「人間は、もっとエゴイストになるべきだ」といったが、そもそも民主主義は個人の人間として生きる権利の主張を保障するところから始まる。
今まで日本国憲法にいう「国民主権」とは何かについて熟考されてこなかったが、60~70年代の市民運動は国民主権の日常的発動の原体験であった。「政治はだれのためにあるのか」を問い直す一冊。(出版館ブック・クラブ1600円+税)