「水槽の中の女」勝目梓著
余命半年と宣告された62歳の「ぼく」は、妻の朝子にどうしても打ち明けなければならないことがあり、ノートに向かう。
20年ほど前、偶然、手にした雑誌がきっかけで、ぼくは大学時代のある出来事を思い出す。ぼくは、実家のガソリンスタンドの客だった芸術家夫妻に頼まれ、ヌードモデルを務めたことがあり、その折、彫刻家の夫の見ている前で一緒にモデルを務めた彼の妻と何度かセックスをしたのだ。そのことを思い出して以来、ぼくは妻が他の男に抱かれている姿を見てみたいという欲求にさいなまされ続ける。そんなある日、ぼくは友人が取引先の社長に誘われ、スワッピングをしたことを知る。
告白記という体裁で中高年夫婦の性愛を描いた長編官能小説。(中央公論新社 1200円+税)