小保方氏ケガの発端 「NHKスペシャル」識者はこう見た
NHKの記者らが理研の小保方晴子氏(31)に全治2週間のケガを負わせ、図らずも放送前から世間の注目を集めた「NHKスペシャル」。取材対象者に対して強引な追跡取材をした揚げ句、負傷させてしまうという由々しき事態を引き起こしたが、負傷事故からわずか4日後の27日夜、NHKはNスペの放送に踏み切った。「少し前まで次週放送予定の知床のヒグマの生態に迫った番組を放送する予定だった」(関係者)ところ、放送日を繰り上げたのはテレビ局として話題性を重視した結果であろう。
番組HPの告知では「史上空前と言われる論文の捏造」「執筆者の小保方晴子研究ユニットリーダーは徹底抗戦」といった文言を並べ、最終的に「調査報告 STAP細胞 不正の深層」と強気かつ過激なタイトルを打った。小保方氏には謝罪済みで事故当日のVTRは流さないとしながらも、ハナから不正と決めつけてかかった番組だ。
その中身はSTAP騒動を巡るこれまでの報道を丁寧に総括。そこに今回Nスペが独自に取材をした上で明らかになった「新要素3点」を組み入れた構成だった。その要素とは――小保方氏のSTAP論文で理研の調査委員会が不正画像と認定したのは2つとの指摘だったが、Nスペが依頼した有識者らによると全140の画像のうち7割で疑義が生じたり不自然であったこと。その論文を掲載したネイチャー誌編集長がカメラの前で取材に応じたこと。そして、小保方研究室の冷蔵庫から発見された「ES細胞」を作製した元留学生の存在を突き止め、本人に電話取材したことだ。