吉本興業社長が熱弁した“クールジャパン20年構想”の勝算
たしかに数年前から耳にする「クールジャパン」ではかなりの後発企画だ。吉本出身でMCIPの横手志都子社長(45)はこの日、大﨑社長とともに具体的なプロジェクトを説明。まず初っぱなに仕掛ける「あなたの街に住みますプロジェクト」――現地に吉本の若手芸人を移住させて地域密着型のエンターテインメントを提供する策は「画期的でこれまでなかった試み」(横手社長)と胸を張る。同じように海の向こうから歌手やコメディアンを呼び、マネジメントのサポートをするという。
アジアを股にかけた吉本の新たなる挑戦。果たして勝算はあるのか。岡山商科大教授(経営学)の長田貴仁氏はこう言う。
「世界相手のビジネスはアップル社の成功ひとつとっても、顧客調査をあてにせず、自分たちの玄人の発想に磨きをかけ、一歩も二歩も先をいくビジネスを仕掛けることが重要。その点では、吉本興業が笑いのプロとして“人”を武器にするのは、新たな試みで、今後が楽しみ。期待したいところです」
会見後、改めて、大﨑社長に意気込みを聞いてみた。
「ビジネスとして成果を出すには年数がかかる。まずは3年、最終的には20年ぐらい。僕がやるのはあと5、6年だと思うけど、その先は若手に任せますよ。ハハハ」
笑いの総合商社がブチ上げた海外戦略。大風呂敷を畳める日は来るのか。