NHK大河「真田丸」成功のカギ 大泉洋はなぜ重宝されるのか?
側室役の長澤まさみ(28)が目玉なら、この男の起用は“飛び道具”といえるだろう。先週末に行われた来年のNHK大河ドラマ「真田丸」(三谷幸喜脚本)の出演者発表会見。主演の堺雅人(41)を援護する21人の新顔キャストが次々と明らかになる中、注目をかっさらったのは、堺演じる真田信繁(幸村)の側室「きり」役の長澤ともうひとり。信繁の兄で信州松代藩初代藩主「真田信幸」役の大泉洋(42)であった。
大泉は現在放送中の朝ドラ「まれ」でのヒロインの父親役に続き、すぐさま同局の看板ドラマに名を連ねることになる。これまで朝ドラから大河に“コンバート”した主立った役者といえば、渡辺謙(55)ぐらい。大した売れっ子ぶりだが、制作陣が使いたくなる役者・大泉洋の魅力とは何なのか。ある映画関係者はこう言う。
「独特の存在感以上に、抑揚のあるセリフ回しが彼の魅力。アドリブの利かせ具合も絶妙で、撮影現場のムードメーカーとしての役割も担ってくれる」
見る側に親近感を抱かせるのもポイントだという。
「今回の会見で早速、脚本家の三谷がボケをかましても、世間の大多数が感じているように冷めた目線で“一刀両断”してくれる。視聴者感覚を忘れない役者と思わせるのは、大泉洋の人としての魅力がなせる業でしょう。『真田丸』でいえば、主役の堺を筆頭に手堅い芝居をする演者が並ぶ中、大泉は唯一、先の読めない俳優。周囲との化学反応の期待値が高く、真面目に演じれば演じるほど笑いを誘うような同世代の役者は、ユースケ・サンタマリアがシリアスな方向に舵を切ってからというもの他に見当たりません」(コラムニストの桧山珠美氏)
迷走ぶりの甚だしい「花燃ゆ」のおかげもあって、逆風吹き荒れる大河。見る側に“今度こそは……”と期待を持たせるだけでも、大泉を起用した甲斐はある。