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碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

ペネロープはギャル風だけど…新「サンダーバード」が大健闘

公開日: 更新日:

連載コラム「TV見るべきものは!!」】

 先月から、「サンダーバード」の新作シリーズが始まった。おなじみのテーマ曲に乗って国際救助隊、いや「インターナショナル・レスキュー」が大活躍している。

 映像としては、CGと特撮のミニチュアセットを融合させたハイブリッド型だ。1965年のオリジナル版を愛する往年のファンは言うかもしれない。「なんだ、スーパーマリオネーションと呼ばれる、リアルな人形劇じゃないのか」と。もちろん、その気持ちも分かるが、これはこれで楽しもうではないか。

 比べるのも腹立たしいが、2004年の実写版映画には困った。ヘンに子供向けのストーリーと、生身の人間(しかもイメージ違い)が演じるキャラクターの違和感は半端じゃなかった。サンダーバード2号やペネロープ号のデザインも改悪でしかなく、あれを思えば今回は大健闘だ。

 舞台は今から50年後の2065年。だが、島からの出動シーンは50年前に見たオリジナルを踏襲しているから、時間が戻ったような不思議な気分だ。またトレーシー家の人々をはじめ、人物の顔と動きは、CGなのにどこか人形っぽい。これもまた、ファンのための意識的な仕掛けだろう。

 ただしペネロープ嬢はやけにギャル風で、がっかり。かつての“レディ・ペネロープ”の英国貴族らしさと、黒柳徹子さんの声が少し懐かしい。
(上智大学教授・碓井広義=メディア論)

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