ペネロープはギャル風だけど…新「サンダーバード」が大健闘
【連載コラム「TV見るべきものは!!」】
先月から、「サンダーバード」の新作シリーズが始まった。おなじみのテーマ曲に乗って国際救助隊、いや「インターナショナル・レスキュー」が大活躍している。
映像としては、CGと特撮のミニチュアセットを融合させたハイブリッド型だ。1965年のオリジナル版を愛する往年のファンは言うかもしれない。「なんだ、スーパーマリオネーションと呼ばれる、リアルな人形劇じゃないのか」と。もちろん、その気持ちも分かるが、これはこれで楽しもうではないか。
比べるのも腹立たしいが、2004年の実写版映画には困った。ヘンに子供向けのストーリーと、生身の人間(しかもイメージ違い)が演じるキャラクターの違和感は半端じゃなかった。サンダーバード2号やペネロープ号のデザインも改悪でしかなく、あれを思えば今回は大健闘だ。
舞台は今から50年後の2065年。だが、島からの出動シーンは50年前に見たオリジナルを踏襲しているから、時間が戻ったような不思議な気分だ。またトレーシー家の人々をはじめ、人物の顔と動きは、CGなのにどこか人形っぽい。これもまた、ファンのための意識的な仕掛けだろう。
ただしペネロープ嬢はやけにギャル風で、がっかり。かつての“レディ・ペネロープ”の英国貴族らしさと、黒柳徹子さんの声が少し懐かしい。
(上智大学教授・碓井広義=メディア論)