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立川志の輔落語家

昭和29(1954)年2月15日、富山県射水市(旧新湊市)生まれ。51年、明治大学卒業。以降、劇団所属、および広告代理店に勤務。58年、立川談志門下入門。平成元年、にっかん飛切落語会奨励賞受賞。2年、文化庁芸術祭賞受賞、立川流真打ち昇進。19年、文化庁芸術選奨文部科学大臣賞受賞。27年、NHK放送文化賞受賞、紫綬褒章受章。

<第1回>何の根拠もないのに「いつかパルコに立つな」と

公開日: 更新日:

「あ、やっぱり来たと思いました。不思議な縁で結ばれていたんですね」

 古典芸能の興行は入らないといわれた渋谷での落語公演に、当時42歳の志の輔が挑戦したのである。

「1年目はやたら力が入るだけで、新作落語3本をネタ下ろしするのに苦しんだことだけ覚えてます。古典落語の焼き直しみたいなネタで、後悔と古典に対する畏敬の念が深まっただけでした」

 初回からうまくいったわけではないのだ。それでも再び依頼があって2年目は4回公演になり、5回、6回、10回と年々増えていった。

 ネタのクオリティーも年々高まり、3年目には東野圭吾の小説を落語化した「しかばねの行方」を演じ、喝采を浴びた。

「以前から清水義範さんの短編を落語にして演じていました。小説を落語にするのは他の人がやってなかったと思います」

 団地に遺棄された死体を見つけ、住人がパニックを起こし、夜中に捨てにいくという話で、「登場人物がパニックを起こすことによる大騒動」という“志の輔落語”の方向性が見えてきた。(つづく)

(聞き手・吉川潮)

【連載】志の輔落語とパルコの20年

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