内藤剛志の“気合”受け止めた 北大路欣也の意外な世話好き
■NGを出して落ち込む内藤に一言
よく気も使ってくださるんですよ。ある時、楽屋で座っていたら、北大路さんがトントントンとドアを叩いてバッと入ってきて、「内藤君。カツラの横を膨らまして張り出した形にすると、カッコいいよ」といきなり直してくださって。おそらく僕を見ていて気になったんでしょうね。それから、廊下を歩いている時にバッとお腹を叩いたりして。着物をだらしなく着ていないかというアドバイスなんでしょうね。
救われたこともありました。「動天」の日本海の海岸でのロケのことです。当時はまだ35ミリのカメラで撮っていて、長~いカットのシーンがあった。僕は最後にそのシーンに入っていく水戸藩主の役で、最後に出る、水戸弁でしゃべるというプレッシャーがあって、間が悪いことにたまたま足元の砂が崩れたんです。その瞬間にセリフがとんだか噛んだかでNG。舛田利雄監督は「メシ休憩にしよう」といったん撮影がストップ。
僕はやっちゃったよ、腹をかっさばいて死のうか、海を泳いで日本海のどこかに行っちゃおうかというくらい焦った。そうしたら、「みんなあることだから、気にすんなよ」と北大路さん、そして一緒にいらした西郷輝彦さんにおっしゃっていただいて。その一言でホッとすることができました。
北大路さんには一生頭が上がりません。