映画「海よりもまだ深く」の是枝監督 ロケ地と家族を語る
是枝裕和監督(53)の新作映画「海よりもまだ深く」が5月21日に公開される。
自称作家のダメ男・良多(阿部寛)は妻(真木よう子)に愛想を尽かされ離婚。息子の養育費もろくに払えず、頼みの綱は団地に一人で暮らす母(樹木希林)。姉(小林聡美)にも呆れられる中、台風の影響で“元家族”が一夜限りの時を過ごし――。撮影は監督が実際に約20年間暮らした東京都清瀬市の「旭が丘団地」で行われた。
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この映画を撮ろうと思ったのは、2001年に僕の父親が亡くなって母親が団地で一人暮らしを始めたお正月に里帰りしたのがきっかけでした。9歳のとき団地へ引っ越したんですが、台風が去った翌日の朝、ランドセルをしょって学校に行くとき芝生がキラキラしてキレイだったのが印象的でした。「台風が来ていなくなるといろんなものをキレイにしてくれる」、そういう“読後感”を大事にしたかった。
(母役の)樹木さんの「せいせいする」というセリフは、台風が大好きな母親がよく言っていました。