「司会者・夏木ゆたか」見いだした ペギー葉山の“大抜擢”
それを察したんでしょうね。舞台袖で客席の様子をうかがいながら、舞台に出るタイミングを見計らっていた僕に、軽やかに声をかけて肩を叩いてくれた。それだけでコチコチだった肩の力が抜けて緊張感がスーッと消え、晴れの大舞台を無事に終えることができました。「司会者でやれるかな……」。そんな自信がつき、それ以降は司会に本腰を入れ、さらにラジオパーソナリティー、リポーターなどに挑戦するきっかけとなりました。
■「あのコに任せましょう」と司会に抜擢
ペギーさんとの出会いも、不思議な偶然からでした。僕はもともと、歌手から芸能活動を始めています。生まれ故郷の千葉県銚子市から歌手になるため高校入学時に上京。4年余りの下積みを経て20歳の時にようやくクラウンから「愛のかけら」でデビューしました。
ところが、残念な結果に終わり、今度こそと意気込んだセカンドシングルも空振り。そうなると仕事らしい仕事がほとんどなくて。それでブラブラしてるくらいならと銀座三越2階のライブ司会に活路を求めたんです。
ここは若者向けファッションフロアで、新人歌手が日替わり出演する歌謡ショーがウリ。実は僕もデビュー直後に歌わせてもらいましたから、担当者に売り込みに行ったところ「本当に司会でいいの?」って、けげんな顔をされたものです。