「司会者・夏木ゆたか」見いだした ペギー葉山の“大抜擢”
ライブは14時スタートで、僕は前説でお客さんを集め、客席を温めておくのも仕事。黙っててもお客さんはステージ前に来て下さらないので、13時30分ごろから大きな声で漫談家みたいにギャンギャンしゃべるワケです。そして30人ほど集まったら、「本日のゲストは……」とお呼びする。明日をも知れぬアルバイト待遇でしたし、司会のイロハを学んだワケでもなかったですから、とにかく毎日が必死でした。
そんなある日、銀座三越屋上の特設ステージでミニコンサートを行うため、ペギーさんがお越しになって、たまたま2階で僕が司会をしてるのをご覧になった。そして、マネジャーさんに「次の渋谷(公会堂)のリサイタルの司会、あのコに任せましょう」とおっしゃったそうです。
でも、最初はお断りしたんです。「雲の上の存在であるペギーさんに対し、あまりにも力不足」と思ったから。それなのに、「ペギーがあなたを気に入ったんだから大丈夫」とマネジャーさんに押し切られ、当日を迎えたんです。
そして、そのリサイタル以降、何度となく司会者に抜擢していただいたことで仕事の幅が大きく広がりました。まさに、「司会者・夏木ゆたか」を見いだしてくださった恩人。それが葉山さんです。