登場人物は実名…原発事故映画「太陽の蓋」製作Pに聞く
そして実名でやるからには、たとえ“不都合な真実”になろうと正確な事実を描くことに一番こだわったと強調する。
「まず国会事故調の資料、次に東電のテレビ会議、そして当時現場にいた人たちが残したあらゆる証言や記録。報道など二次情報ではなく、これらの一次情報を私や他のプロデューサー、監督、脚本家などスタッフが一丸となって徹底的に調査して脚本に反映しました。もちろん劇映画ですから、新聞記者などは複数のモデルを一人のキャラクターにまとめるなど脚色もあります。しかし東電の社員だろうが官邸にいた人だろうが、当時の関係者の誰が見ても『俺、そんなこと言ってないよ!』とは言わせない内容になっている自信があります」
こうした創作の原動力は、世間に蔓延する誤った原発事故の認識を正したいとの思いからだ。
「たとえば菅直人が原子炉への海水注入をやめさせたというデマは、安倍首相が自身のメルマガに書き、翌朝の産経、読売が1面トップで報じたせいで今も多くの人が信じています。そうした誤解を一つ一つ検証し、真実を世に残したい思いがあった。もっとも、彼ら民主党の政治家たちにすれば嫌な部分も描きましたが」
三田村邦彦が演じた菅直人元首相の本音も聞いてみたいところだ。映画は7月16日から渋谷ユーロスペースより全国順次公開。