大河「直虎」は脇役陣の“アナザーストーリー”が成否握る
そして、2つ目はヒール。井伊直虎の物語をどう描くかによるので、誰がヒールなのかわからない。家臣を演じるでんでん(66)や筧利夫(54)あたりなのか、井伊家を屈服させた今川家の春風亭昇太(57)や尾上松也(31)か。本業が伝統芸能のふたりが長丁場に出ずっぱりとは思えず。いずれにせよ、視聴者に毛嫌いされるレベルの悪役を堂々と演じてほしい。
3つ目は、実在しない人物。歴史好きからの総ツッコミをかわすため、そして物語に躍動感をもたらす起爆剤として登場する市井の人物だ。これは盗賊役の柳楽優弥(26)が担当かな。柳楽は迫力と目力をもつ名役者だ。大河がよくやらかす「無駄にファンタジーで大失敗」になりませんよう、柳楽の実力が存分に生かされますよう、と祈るのみ。
ドラマ好きとしての本音を言えば、名優たちが大河に取り込まれ、1年近くも他局ドラマに出てこないのは悔しい。だから、大河はかなり意地悪な目で見るわよ!
(ライター兼イラストレーター・吉田潮)
▽よしだ・うしお 1972年生まれ。週刊新潮で「TVふうーん録」を連載中。著書に「TV大人の視聴」(講談社)など。