師匠が「ネタ全部忘れてええ」 桂吉弥さん初稽古の衝撃
上方落語の実力派として、NHKの「生活笑百科」でお馴染みの桂吉弥さん(46)。神戸大学に入学し、落語研究会に入ったのが人生の転換点。足を向けて寝られないのは師匠の桂吉朝さん(故人)だ。
■寄席に通ってようやく見習になったものの……
「入門したいんか? けど俺、もう弟子は取れへんから」
大学4回生になる直前やから1994年3月ごろです。豊中市の公民館で行われていた師匠・吉朝主催の寄席「岡町落語ランド」の楽屋に入門のお願いに行きましたら、あっけなく断られてしまった。事前にご自宅にお手紙を差し上げ、意思は伝えてあったんですけどね。
そう言われても諦めるわけにいきません。何遍も何遍も寄席に通いましたら2カ月ほどして、「おまえ、落研なら着物たためるやろ」。
ようやく見習です。そしてその後、95年2月から師匠の師匠、3代目桂米朝師匠のご自宅に住み込みの内弟子に……なる予定やったんですけど、直前ですわ。1月17日、阪神・淡路大震災。当時住んでた神戸市灘区記田町のアパートは、グッチャグチャになりました。