みうらじゅんが語る いとうせいこうとの“不思議な関係”
漫画家、文筆家、ミュージシャン、コレクター、サブカル評論家……。幅広い分野に肩書を持つみうらじゅんさん(59)。もっとも影響を受けたのが、小説家でマルチクリエーターのいとうせいこうさん(55)だ。
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いとうせいこうさんと初めてお会いしたのは25年ぐらい前。CS放送のテレビ番組でご一緒したんですよ。お互いに名前は知っていたものの、サブカルチャー業界には業界特有の派閥みたいなのがありましてね。2人とも少し本流からは離れてたせいか、それまでは接点がなかったんです。
でも、話をするとやってたこととか服装、髪の毛の長さは違うのに、笑いに関する感覚がすごく似てる。それで僕からデートのお誘いをしまして、1週間ぐらい後に代々木にあった僕の事務所に来ていただいたんです。じっくりと話したら感じた通り。京都生まれの元関西人で魂を売って東京に来た自称“関西ユダ”の僕なのに、もともと東京生まれのいとうさんと、根底の笑いのセンスに共通するものがあったんです。
それであれこれ話してるうちに全国各地の仏像を見て歩き、いとうさんが独自の視点で文章を書いて、僕がイラストを描くという「見仏記」のヒントが生まれ、連載を92年9月から中央公論で始めました。