著者のコラム一覧
井筒和幸映画監督

1952年12月13日、奈良県出身。県立奈良高校在学中から映画製作を始める。75年にピンク映画で監督デビューを果たし、「岸和田少年愚連隊」(96年)と「パッチギ!」(04年)では「ブルーリボン最優秀作品賞」を受賞。歯に衣着せぬ物言いがバラエティ番組でも人気を博し、現在は週刊誌やラジオでご意見番としても活躍中。

<140>バブル崩壊後の“失われた世代”は哀れな漂流者ばかり

公開日: 更新日:

 どうしてそんなことしでかすんだか、ほんとにわけの分からん犯罪者だらけ。今一番、本人の頭の中もわけが分からなくなっている最中なのが、群馬の田舎のコンビニ酒店で1万円札1枚とビール券30枚だけかっぱらって、長野の松本市内だ、岐阜の高速道料金所だ、富山のコンビニだと、まるで「逃亡者」のリチャード・キンブル気どりかどうか知らないが、逃げまくっている群馬県警の警部補のバカ者だ。最近、とち狂ってしまって、上司を撃ち殺した警官もいたし、危なくてならない。まだ37歳だから、キンブルなんて知る由もないか。「職業医師、彼は身に覚えのない妻殺しの罪で死刑を宣告され……護送の途中、事故に遭い、からくも脱走した。現場から去った片腕の男を探し求めながら……」。60年代のアメリカのテレビドラマ「逃亡者」はほんとにカッコ良かった。冤罪を自ら証明するため、明日を信じて逃げてたんだから、希望と夢があったもんな。

 さて、この若い警部補、マジメそうな、いかにも警察官って顔の写真も日本中に公開手配されて、今、絶賛、逃亡中だ(もしこれを読んでるなら、すぐ出頭しなさい。まだ未来はあるんだから、ね)。しかも捜査2課。企業犯罪、経済犯罪、金融犯罪、詐欺、贈収賄、脱税、不正取引、公務員の職権乱用、汚職……の担当だ。それが泥棒やってんだから、もう、つける薬も塗る薬もない。実は、本人が一番困ってたんだろ。サラ金に数百万円の借金で困り果てた揚げ句のようだ。でも、なんで夜中に酒屋に強盗なん? 誰か相談相手はいなかったのか? 結局、友達もいなかったのか? いなかったんだろうな。ガキでも大人でもない、人生の谷間でもがいて疲れて壊れかけてるのが、37歳だ。腹を割って話ができる友人などいないよな。でも、サラ金の借金ぐらい、過払い相談所に電話したら何か策もあったはずだ。強盗する発想が分からない。まさに、バブル崩壊後に生まれた「失われた世代」は哀れな漂流者ばかりだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 2

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  5. 5

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  1. 6

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 7

    「ダウンタウンDX」終了で消えゆく松本軍団…FUJIWARA藤本敏史は炎上中で"ガヤ芸人"の今後は

  3. 8

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  4. 9

    フジ経営陣から脱落か…“日枝体制の残滓”と名指しされた金光修氏と清水賢治氏に出回る「怪文書」

  5. 10

    大物の“後ろ盾”を失った指原莉乃がYouTubeで語った「芸能界辞めたい」「サシハラ後悔」の波紋

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  5. 5

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  1. 6

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 7

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 8

    雑念だらけだった初の甲子園 星稜・松井秀喜の弾丸ライナー弾にPLナインは絶句した

  4. 9

    「キリンビール晴れ風」1ケースを10人にプレゼント

  5. 10

    オリックス 勝てば勝つほど中嶋聡前監督の株上昇…主力が次々離脱しても首位独走