「駅馬車」銃撃戦で味付けをした人間再生の痛快ドラマ
1939年 ジョン・フォード監督
スカッと爽やかな映画を見たい――。こんなときにオススメなのが本作。ジョン・ウェインの代表作であり、西部劇の不朽の名作だ。
19世紀終わり。アリゾナ州からニューメキシコ州ローズバーグに向かう駅馬車に7人の客と保安官が乗り合わせる。男は脱獄囚のリンゴ(J・ウェイン)と銀行家、飲んだくれの医師、いわくつきの賭博師、酒のセールスマン。女は騎兵隊大尉の夫に会いに行くマロリー夫人と町を追い出された娼婦のダラス(クレア・トレバー)だ。リンゴが脱獄したのは自分の家族を殺したプラマー兄弟への敵討ちのためである。
折しもアパッチ族が襲撃してくるとの情報がもたらされ、護衛の騎兵隊は馬車を離れるが、乗客は目的地を目指す。だが途中駅でマロリー夫人が夫の負傷を聞いて倒れる。妊娠中の彼女は産気づき、酔いどれ医師によって女の子を出産。赤ん坊を抱くダラスを見たリンゴは彼女に求婚し、ダラスは医師に助言を求める。まもなく馬車は出発し、アパッチの待ち伏せを受けるのだった……。
子供のころ本作を見た人はアパッチの襲撃シーンしか覚えていないかもしれないが、実は人間の再生を描いた人情劇だ。ダメ医者は出産を手がけることで医師としての自信を取り戻す。リンゴは娼婦に惚れ、娼婦は自分も幸せになれると実感。自尊心の強い夫人は自己を悔い改めるように娼婦に心を開く。