「駅馬車」銃撃戦で味付けをした人間再生の痛快ドラマ
ここにリンゴを逮捕した保安官の心情と出産後の対立、銀行家の悪事、アパッチの襲来、プラマー兄弟との銃撃などが重箱料理のように積み上がり、痛快なエンディングを迎える。
銃撃戦も見応えがある。逃げる駅馬車、追いかけるアパッチ。銃弾が尽き、賭博師はもはやこれまでと、神に祈る夫人に銃口を向ける。そこに響く騎兵隊のラッパ。ローズバーグの町では陰影を巧みに使った映像に、3対1の決闘を見守る人々の緊張感がみなぎっている。
わずか99分の中に人間ドラマと銃撃を無駄なく詰め込んだ傑作。その完成度の高さは公開から79年経った今もいささかも色あせていない。やはり先達のわざは偉大だ。 (森田健司)