ボナ植木が「息子はマジック嫌いで落語が好きなんです」と
3番弟子、好の助の父親はマジシャン、ナポレオンズのボナ植木である。植木から好楽に電話があったのは2005年のことだ。
「『うちの息子が師匠の弟子になりたいと言ってるんでお願いします』と頼まれて、驚きましたね。マジシャンにするもんだと思ってましたから」
すると植木は、「息子はマジックが嫌いで落語が好きなんです」と言った。
「それで弟子に取って、かっ好という前座名を付けたのはいいけど、とにかく強情で意地っ張り。取りえといえば、声が大きいことだけ。ご近所の人から、お弟子さんの声がうるさいと苦情があったほどです。でも、落語家の声はうるさいくらいのほうがいい」
好楽門下の前座修業は3年と決まっている。その間、毎朝10時に師匠の携帯に電話することが義務付けられている。
「その日の用事のことがありますし、前日の報告もさせます。どの師匠にお世話になったか知らないと、会った時にお礼が言えないでしょ。その電話をかっ好は3年間一度も欠かさずに、遅れたこともなかった。10時ピッタリに携帯が鳴る。これは前座の中であいつだけでした」