ボナ植木が「息子はマジック嫌いで落語が好きなんです」と
2013年に好楽が自宅に<池之端しのぶ亭>をつくると、二つ目に昇進したかっ好改め好の助は、毎月そこで勉強会を開き、2席ずつネタ下ろしをした。
「その会を2年続けて、合計48席覚えた。時々、楽屋で聴きましたが、確実によくなってる。これなら真打ちにしていいだろうと昇進を決めたわけです」
昇進を機に改名したらどうかと考えた。いい名前を付けてあげたいという親心である。
「そこで思いついたのがあたしの前名の林家九蔵です。彦六師匠が付けてくれた芸名で、師匠の没後、先代円楽門下に移るにあたり、心ならずも捨てた名前です。それを弟子に付けて復活させたい。三遊亭の中に林家を入れたい。そういう思いで提案したら好の助が喜んでくれた。まず、彦六師匠のご遺族の了解を得て、次に彦六一門の筆頭弟子、木久扇師匠に報告しました。その上で名入りの扇子と手拭いを作ったわけです」
今年の1月、好の助が新聞のインタビューで、林家九蔵を襲名することを公言した。すると、その記事を読んだ林家正蔵の母親、海老名香葉子氏が「まかりならぬ」と反対したのだ。 (つづく)