「天狗党」 日本人はだまされやすい民族であることを痛感
1969年 山本薩夫監督
幕末に暴れ回った水戸天狗党と彼らに関わった男の生きざまを描く。先週、KADOKAWAからDVDが発売された。
常陸国の百姓・仙太郎(仲代達矢)は租税の減免を願い出たことで代官の怒りを買い、百叩きの仕置きを受ける。このとき仙太郎は水戸天狗党の加多(加藤剛)に随行していた甚伍左親分から水と銭を与えられることに。自分を痛めつけた北条の喜平を恨む仙太郎は侠客の道に入り、甚伍左と再会。甚伍左の頼みで彼の娘(十朱幸代)に届け物をした際、乱暴をはたらく喜平の手下を殺害。その場に現れた加多らとともに喜平を斬り殺した仙太郎は天狗党に加わって戦功を挙げる。
その一方で天狗党は内輪揉めをしていた。加多は仙太郎に吉村という同志を斬るよう命令。仙太郎はためらいながらも、吉村の側近となっていた甚伍左の制止を振り切って暗殺を遂げる。無学の仙太郎は何が正義か分からない。冷徹で差別的な天狗党に不信感を抱くが、それでも加多を信じようとする。やがて天狗党は筑波山から進軍。京都を目指すのだった……。
水戸藩は2代藩主の水戸光圀(黄門)が「大日本史」を編纂したこともあり、尊皇の気風が強かった。その影響から尊攘思想を実践すべく急進グループが結成され、百姓や他藩の侍を加えて数千人の天狗党となった。