夜明けの祈り(2016年・仏国/ポーランド)
1945年12月、ポーランドのフランス赤十字で働く女医マチルドの元に、若いシスターが助けを求めて駆け込んでくる。ソ連軍の兵士による蛮行で仲間7人が妊娠。それが公になれば修道院の恥。閉鎖を恐れた院長は、女医に他言無用を約束させて、処置に当たらせる。
禁断の僧院で次々に産声を上げる新しい命。神への忠誠から貞節を誓ったはずのシスターだが、赤ん坊を目の当たりに母性が目覚める。が、厳格な院長は不浄を嫌い、赤ん坊を養子に出すと主張し、赤ん坊を捨て去ってしまう。そのショックで飛び降り自殺した仲間が出たほどだ。
シスターの中で姉御肌のマリアは、修道院に来るまで遊んでいて、処女ではない。ソ連軍の蛮行を免れたことで、妊娠した仲間を看護する。女医をサポートしながら、2人は次第に打ち解け合っていく。そんなマリアがこぼした言葉だ。
実話ベースの本作は、女性監督ならではの、しっとりとした映像が印象的で、困難に立ち向かう女性の姿をみずみずしく映し出す。日韓にくすぶるようなテーマだが、監督の目線はレイプしたソ連軍への兵士に置いていないのがいい。信仰と現実のはざまで揺れる女性の弱さと母親の強さを淡々と描いている。
ほぼ無名の役者でも演技が良く、レイプシーンはなくてもシスターはみんな色っぽい。でも、ボクが監督なら、少しレイプシーンを挟んだ方がよりシスターに感情移入できる気がする。それは、男性目線的な好奇なのかなぁ……。