古典落語だって当時は新作 そう考えると「同時代落語」は
落語ファンには保守的な人が多いから、客席の反応が微妙だったのは想像に難くない。
「はい。最初はつらい反応でした。『あんなものはやめたほうがいい』とか、『お坊ちゃんの道楽だ』といった批判が多かったです。でも途中でやめる気はなかった。『洋服姿が気になって噺に入っていけない』と言われた時、噺の内容が拙いからスタイル自体を批判されるんだ。内容さえ良ければ洋服姿は気にならないはずと思って、作家に創作を依頼することにしたんです」
花緑が頼ったのは、NHKの「にほんごであそぼ」に出演した際にショート落語を書いてくれた放送作家の藤井青銅氏である。
「藤井さんは、『今、世の中で起こっていること、お客さんとの共通の話題を落語にしましょう』とおっしゃいました。そこで、同時代落語と称することが決まったのです」
これが花緑の新機軸になった。(つづく)
(聞き手・吉川潮)
▽やなぎや・かろく 1971年、東京生まれ。中学卒業後、祖父・5代目柳家小さんに入門。2年半で二つ目に昇進し、22歳の時、戦後最年少で真打ちに。10月26日(金)、27日(土)、イイノホール(東京)で独演会「花緑ごのみvol.36」を開催。新作「鶴の池」(バレエ「白鳥の湖」の落語仕立て)を披露する。著書「花緑の幸せ入門『笑う門には福来たる』のか?」(竹書房新書)が発売中。