九蔵襲名に海老名香葉子が横やり…ケチが付くと縁起に障る
好楽の3番弟子、好の助の九蔵襲名に林家正蔵の母親、海老名香葉子氏から横やりが入った。正蔵が反対したかのように報じたマスコミもあるが、正蔵は母親の代弁者にすぎない。
「若い人の祝い事になんでいちゃもんをつけるのかなあって思いながら、根岸の海老名家へ出向きました。おかみさん(香葉子氏)と3時間くらい話しましたか。ことを分けて説明してお願いしてもわかってもらえませんでした」
林家九蔵を好楽の弟子が襲名することにどうして香葉子氏が反対したのか。演芸評論家として解説しておこう。
多分、香葉子氏は、歌舞伎の団十郎の市川家が「市川宗家」であるように、海老名家が「林家宗家」と思い込んでいるのだろう。しかし、落語界は歌舞伎界と違う。同じ林家であっても、一門が違うのだから口をはさむ資格はない。
一門の中で師匠と異なる亭号の者が存在する例は多い。好楽がいた林家彦六門下には春風亭柳朝、橘家文蔵がいた。立川談志門下には桂文字助がいたし、当代金原亭馬生門下には桂三木助がいる。それぞれの事情で、師匠とは違う亭号を名乗っている。落語界はアバウトなのである。従って、好楽が前名の林家九蔵を愛弟子に名乗らせたいという親心はくみ取ってやるべきであろう。