<5>落語への興味は笑福亭鶴瓶のラジオと枝雀の上方落語
歌之介こと野間賢は中学1年の3学期が終わった時、6年間過ごした鹿児島を離れて、母のいる大阪の紡績工場の寮へ移った。反抗期で祖母が持て余していたので、母が引き取ることになったのだ。
「大東市の住道中学に転校しました。同級生は河内弁丸出しで、ちょっと怖かったです。鹿児島の中学でやってた軟式テニス部に入って、勉強よりもテニスに打ち込んでました。それでも当時、偏差値が最低クラスだった汎愛高校に入学できまして、そこのテニス部で、後に新作落語の主人公になる田畑と出会うんです。おっさんみたいな老け顔で、度の強い眼鏡をかけている。対外試合に出向くと、相手校の顧問の先生が田畑を顧問だと思い込んで、『今日はよろしくお願いします』と挨拶するんですから。試合が始まって田畑が出場すると、『生徒だったのか』と驚くのが常でした」
歌之介が新作落語を演じ始めた頃、彼を主人公にした「田畑クン」という落語をつくっている。
「30代後半になって、高校の同窓会で20年ぶりに田畑と会ったら、まるで変わっていない。私を含めて他の同窓生は年相応に老けてきたのに、田畑だけ高校時代と同じ顔なんです(笑い)。老け顔のやつは年を取らないんですね」